用語集
金型【Click!】
| 金型 | ダイカスト製品を作るための金型。特殊鋼で精密に作られている 固定型と可動型で構成され、二つを合わせる事でキャビティを作り出している |
|---|---|
| 固定型 | ダイカストマシンの取り付け面(プラテン)の固定盤に取り付ける方の金型 |
| 可動型 | ダイカストマシンの可動盤に取り付けるほうの金型 鋳物はこちら側の型に入っており、押し出し機構によって取り出される |
| パーティングライン | 固定型、可動型の合せ面(分割面) |
| キャビティ | 製品形状を構成する金型の彫り込み面(空間) |
| 入子(いれこ) | キャビティを直接金型に掘り込まず、ひとまわり小さな特殊な鋼材に彫り込み、母型(おもがた)にはめ込むことで交換が可能になる 一般的に金型はこの方式を採用している |
| 母型(おもがた) | 入子をはめ込むためのベース金型。または直接掘り込んである金型 |
| 中子(なかご) | 鋳造後に製品を取り出す前に入子から引き抜かれる金型 主に鋳物に穴を開けた形状を作る時やアンダーカット形状を作る時に用いられる |
| 溶湯(ようとう) | 溶解した金属又は合金。「湯」と呼ぶ場合もある |
| 湯道(ゆみち) | 鋳込み口から製品部までの湯が流れる通路 |
| 湯口(ゆぐち) | 湯道と製品部の境目にあたる湯の入り口で、その最小断面積部分をいう ゲートと呼ばれることもある。 |
| 湯溜まり | 先走りの汚れた湯や、湯を引っ張り込みたい場合につける、製品部分とは別の彫り込み。オーバーフローと呼ばれることもある |
| ガス抜き | 金型キャビティ内のガスを抜くために金型表面に掘り込まれた廃棄用通路 |
| 金型温度 | 一般的にキャビティの表面温度をいう |
| 鋳造面積 | 金型キャビティにおいて、製品、湯道、オーバーフローなどを含む鋳物部分の全投影面積をいう |
| 抜け勾配 | 金型、中子、ピンなどから鋳物が容易に抜けるようにするためにつけられた勾配 |
| アンダーカット | 金型や中子の移動方向に対して平行に抜けない箇所 |
| ボス | ダイカスト製品作られた突起部分 |
| 鋳肌 | 鋳造したままのダイカストの表面(鋳肌面) |
設備【Click!】
| ダイカストマシン | 構造は型締め部、射出部、押出部からなり油圧式が一般的。 射出部は不活性ガス(窒素)を使用したアキュームレーター装置を用いて、圧縮エネルギーを利用している。 |
|---|---|
| コールドチャンバー ダイカストマシン |
高融合金(アルミニウム)に使用される。ダイカストマシンには金型に溶融金属を供給する装置(給湯機)が備わっている。大物製品を鋳造することが可能。 |
| ホットチャンバー ダイカストマシン |
低融合金(亜鉛・マグネシウム)に使用される。 射出部が保持炉内にあり常に加熱されている。溶湯が酸素に触れないため、酸素を巻き込まないことや、鋳造サイクル亜早いことが特長。 |
| 型締力 | 金型を締め付けるチカラでトン数で表示する。 この数値が大きいほど大きな製品を作ることができ、ダイカストマシンの大きさの規格となっている。 |
| トグル機構 | 機械的倍力機構の一種で、リンク機構を使い型締め力を増大させる働きをする。 |
| 溶解炉 | 鋳鉄や黒鉛の炉鍋、または耐火レンガで組み上げた炉で溶解や保持を行う炉 |
| プランジャー | 加圧室内の溶湯を金型へと押し出す装置 |
| プランジャーチップ | 射出部の先端部にある溶湯を押し出す専用部分 |
| プランジャースリーブ | 溶湯が供給される円筒状の部分。 供給された溶湯は、チップで押し出されスリーブ内を通りキャビティに送り込まれる。 |
| プランジャー潤滑剤 | スリーブとチップの摺動面に塗布する潤滑剤。 多すぎると潤滑剤そのものや、潤滑剤が燃焼したガスが製品に巻き込まれる原因になる。 |
| 取り出し装置 | 金型から押し出された製品を取り出す装置。 直動式の空圧、油圧シリンダーを用いたものが一般だが、最近は電動ターボモーターで迅速且つ正確な取り出し装置も増えている。 |
| 離型剤 | 製品が金型にとられることで発生するカジリや、溶湯が金型に焼き付くのを防止するためにキャビティ表面に塗布する溶剤。 金型温度、製品品質に著しく影響し、金型には毎サイクルごとに塗布する。 |
| フラックス | 溶解炉の溶融金属から酸化物や好ましくない物質を脱ガスまたは除去するために使われる合成化合物の粉を呼ぶ名称。またはその行為。 |
| 鋳ばり | パーティングラインや中子の合せ部分の隙間に発生する製品から余分に張り出した薄い金属片(膜)をいう。 |
| フラッシュ | 鋳ばりのひどい状態。パーティングラインから鋳ばりが噴出す様子。 |
| トリミング | ダイカスト鋳物から鋳ばり、湯道、オーバーフローなど余分な部分を取り除くために行われるプレス抜き工程 |
| ショットブラスト | 小さな金属球を遠心力や圧縮空気を利用して鋳物に投射し、鋳ばりを除去する方法。または装置名称。 |
加工・後処理【Click!】
| 機械加工 | 多種多様な加工機械を用いて加工を施すこと。精度の高い製品に仕上げることができる。 |
|---|---|
| 含浸処理 | ダイカストにできた鋳巣やピンホールに、真空ならびに加圧下に特殊な含浸液を浸透充填させてその耐圧機密性を向上させる救済処理のこと。 |
| バフ研磨 | とじバフ、ばらバフに油性研磨材を併用して行われる粗研磨後の中間・仕上げ研磨工程。 |
| クロメート処理 (化成処理) |
ダイカスト製品をクロム酸溶液に浸漬させ、表面にクロメート皮膜を化成させる処理のこと。 塗装の下地としてや、耐食性及び美観を向上させるために施す。 |
| アルマイト処理 (陽極酸化) |
アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を作る処理。 電解液中においてアルミニウムを陽極として電流を流すと陽極皮膜を生成する。 人工的に分厚い酸化アルミニウム皮膜を作ることによって高い耐磨耗性、耐食性を得られる。 |
| ニッケルめっき | 材料の表面にニッケルの薄膜を作成する表面処理。耐食性に優れ、物質的性質も良好であり各種の素地に対して直接密着性のよいメッキができる。 ダイカストの耐食性対策の殆どがこのニッケルメッキである。 |
| クロムめっき | 装飾用光沢と硬度、耐磨耗性を与えるために施す。 下層にニッケルめっきを施した後、上層にクロムめっきを施す。 |
| 塗装 | 装飾、耐候性向上のために表面を塗料で皮膜する処理。 |
| 熱処理 | ダイカスト製品に対し、熱と冷却を繰り返し与えることにより歪取り、強度向上、伸び向上など組織変化により性質を改善させる方法。 |
不良【Click!】
| 鋳巣(いす) | ダイカスト製品内部に存在する空洞。ヒケ巣と巻き込み巣に分けられる。 巣(す)と呼ぶこともある。 |
|---|---|
| ヒケ巣 | 凝固収縮によって生じる鋳巣。引き裂かれ割れたような孔になる。 |
| 巻き込み巣 | 巻き込まれた空気やガスにより生じた鋳巣。丸い形の孔になる。 |
| カケコミ | 湯口や湯だまりを切り離す場合に、製品部分が欠損する(欠ける)現象 |
| ピンホール | 鋳巣のことで極小なものを呼ぶ。 |
| カジリ | 焼付きなどによる金型表面の粗さ、抜け勾配が不適切な場合、金型から製品が押し出されるときに製品表面に引っ掻き傷を生じさせる現象。 |
| 焼付き | 溶湯が金型表面に融着して堆積し、そのまま鋳造を行うと欠肉を生じさせる現象 |
| ヒートチェック傷 | 金型キャビティ面にひび割れを生じたまま鋳造を行うと、製品部分にそのまま写され外観を損なう現象。 |
| 打痕(ダコン) | 外部からの衝撃によって生じた凹み傷。 |
| 湯じわ | 金型内に流入した溶湯が充分融合しないで、製品の表面に浅いシワや湯流れ模様が表れる現象。 |
| 湯境 | 金型内での溶湯の熱量不足または湯流れの合流により、充分融合しないことで境界に溝を残したまま凝固した状態。 |
| 湯回り不良 | 溶湯がキャビティの一部を未充填のまま凝固する現象。 |
| ヒケ | キャビティの局部的過熱が原因で、その部位の凝固だけが遅れ体積の減少から表面のくぼみとなる現象。 |
| 割れ | 抜け勾配の不足、凝固収縮、不適当な押し出しにより発生する亀裂。 |
| 膨れ | ダイカスト表面近くに巻き込まれたガスが盛り上がりを生じる現象。 |
| ハガレ | 製品の表面などがはがれる現象。充填凝固不足、ふくれ等が要因。 |
| ハードスポット (異物) |
切削加工中に切削を阻害するような硬質な異物。溶解工程の酸化物が主な原因。 |
| 歪(ヒズミ) | 冷却によって生じる歪や、不適当な押出しによって発生する製品が歪んだ状態。 |
| 内部欠陥 | ダイカスト製品内部に発生する不良要因の総称として使う。 鋳巣、ハードスポットが代表格。 |

