ダイカスト用合金
■ダイカストとは
■ダイカストの種類
■ダイカスト用語
■ダイカスト用合金
| ダイカスト用合金としてJISに規定されている合金は、アルミニウム合金、亜鉛合金、マグネシウム合金の3種類がある。そのほかにも銅合金や鉛合金もあるがJISで規定されていない。ダイカストでもっとも多く使用されるのがアルミニウム合金で95%を占めている。次いで亜鉛合金となっています。 |

■ダイカスト用合金には、次のような特性が求められる。
| @鋳造性が良い | |
| 金型内での溶湯の流動性が良い。複雑で精密な金型形状や、薄肉製品の製造が可能となる。 | |
| A凝固時の欠陥発生がない | |
| ひけ巣やガス欠陥の発生がない。熱間割れがなく、強度特性の向上やばらつきが少ないこと。 | |
| B金型へのダメージが少ない | |
| 鋳造温度が低く金型への侵食が少ないこと。金型寿命は合金の融点が高くなると極端に低下する。 | |
■アルミニウム合金について
| ダイカストの中で最も使用されているアルミニウム合金は、JISにより14種類が規定されています。その中で最も使用されているのがADC12種と呼ばれる合金です。アルミニウム合金ダイカストの94%がADC12種です。ダイカストにおけるアルミニウム合金の選択にあたっては、合金の化学成分、機械的性質、物理的性質や、鋳造性、機械加工性、表面処理性を考慮する必要があります。 |
| JIS合金種 | 合金成分系統 | 合 金 特 性 |
| ADC10 | Al-Si-Cu系 | 機械的性質、被削性及び鋳造性が良い。 |
| ADC10Z | Al-Si-Cu系 | ADC10種とほぼ同じ。 鋳造性、耐食性で若干劣る。 |
| ADC12 | Al-Si-Cu系 | 機械的性質、被削性及び鋳造性が良い。 |
| ADC12Z | Al-Si-Cu系 | ADC12種とほぼ同じ。 鋳造性と耐食性で若干劣る。 |
| ADC1 | Al-Si系 | 耐食性、鋳造性に優れるが耐力が幾分低い。 |
| ADC3 | Al-Si-Mg系 | 衝撃、耐力に優れ、耐食性も1種と ほぼ同じであるが鋳造性に劣る。 |
| ADC5 | Al-Mg系 | 耐食性が最も優れ、伸び、衝撃にも強いが 鋳造性に劣る。 |
| ADC6 | Al-Mg系 | 耐食性は5種に次いで優れる。 鋳造性は5種より若干良い。 |
| ADC14 | Al-Si-Cu系 | 耐磨耗性に優れており耐力はよいが伸びが劣る。 鋳造性も劣る。 |
| ダイカスト用アルミニウム合金には、鋳造性や強度、耐食性など改善を目的として、種々の合金元素を添加しています。それらの合金元素には性能を向上させる働きや、反対に低下させる働きもあるので規格により厳しく管理されており、取扱いには注意が必要です。 以下に代表的な合金元素を紹介します。 |
| 合金元素 | 増加する性質 | 低下する性質 | 特 徴 |
| Si (珪素) |
強度 硬さ |
伸び | Al‐Si系合金は鋳造性や強度特性に 優れる。 |
| Cu (銅) |
引張り強さ 硬さ・切削性 |
伸び 耐食性 |
ADC12種ではCuを増加傾向にして 機械的性質を向上させている。 |
| Fe (鉄) |
焼付防止 かじり防止 |
強度 | 過剰のFeは強度を低下させる。 |
| Mg (マグネシウム) |
耐食性 強度 |
耐食性 | 過剰のMgは耐食性を低下させる。 |
| Mn (マンガン) |
切削性 | Al‐Si‐Fe‐Mnの金属間化合物を 生成し切削性を 低下させる。 |
|
| Zn (亜鉛) |
耐食性 | 不純物として許容範囲が厳しく制限される。 |
アルミニウム合金にについて
| アルミニウムは天然鉱物ではなく、ボーキサイトと呼ばれる原料から作られます。世界でアルミニウムの発見研究が始まったのが、1800年初頭からで金属の中では非常に歴史の浅い新素材といえます。1800年後期になり日本で始めてアルミニウムが製品化されたと言われています。発見から西暦2000年までの100年間でアルミニウムは急速に普及し、その消費量を増やしあらゆる産業で活躍しています。 |
| 《 雑記 》 アルミニウムの語源は、発見研究時にアルミを含んでいた”みょうばん”(ばん土)のアルム(Alum)と言われています。その後、ラテン語のアルーミネ(光を持ったもの)と掛け合わせて出来た名称がアルミナム(Aluminum)として世に紹介されたようです。フランスでビシビシ鍛えられているうちに、今で言うアルミニウム(Aluminium)となりました。いかにも新素材!クールな名前になりました。ちなみにアメリカでは(Aluminum)を今でも使用しています。紛らわしいですね。(iが多いか少ないか) |
■アルミニウム合金の特長
| アルミニウム合金の特徴やちょっとした小ネタを紹介します。 |
| @軽い |
| アルミの比重2.7(重さの比で、大きいほど重い)は、鉄7.8、銅11.3、金19.0、銀10.0と比べ非常に軽いことがわかります。鉄の半分以下。 自動車産業界では、この軽いアルミニウム合金部品を多く使用しています。軽いことで少ないエネルギーで動くことができるので低燃費となり、環境にやさしい素材といえます。飛行機や電車もアルミ製なんです。 |
| Aリサイクル |
| アルミは溶け出す温度が低く(660℃)、少ないエネルギーで簡単に溶かすことができます。再生地金をつくるエネルギーは、ボーキサイトからつくる新地金のエネルギーに比べわずか3%で作ることができます。残りの97%のエネルギーを節約できます。またリサイクルというと品質が落ちる印象がありますが、同じ合金を集めて溶かすことで同じ品質のアルミになります。リサイクルが主原料ともいえる金属材料です。 |
| B強い |
| アルミのイメージは、「弱い・やわらかい」と思われがちです。アルミは熱処理を施すと強度が増します。なかには鉄に匹敵するものもあります。またアルミは低温で強度を増す特性を持ち、−196℃の液体を入れても壊れません。この特性により宇宙分野やバイオテクノロジー分野で活躍をしています。 |
| C耐食性がよい |
| アルミニウムは空気中で酸化しやすい性質があります。酸化することで酸化アルミニウム皮膜が形成され、この皮膜によって腐食を防ぐ作用があります。いつまでも美しい外観を保つことができます。 いつまでも美しい外観・・・!女性の方必見です。アルミニウムに聞いてください。 |
| D電気を通す |
| アルミニウムは電気を通します。それも高い電気伝導性を持っています。軽くて電気をよく通すので最近は高圧送電線を銅からアルミニウムに替えているそうです。 |
| E非磁性 |
| アルミニウムは非磁性で磁場に影響されることがありません。そのためパソコンのハードディスクやパラボラアンテナなどに使われます。非磁性とは磁石に付かないことで、空き缶の選別に大きな磁石でスチール缶とアルミ缶を分別していることはご存知かと思います。 |
| F毒性がない |
| アルミニウムは無害な金属です。焼いても煮ても毒が出ません。キッチンにあるアルミホイルやヤカン、ジュースの缶など口にする物でも問題ありません。薬やお菓子の包装にも多く使われています。でも奥歯でガチガチ噛むと電気が走りますので口には入れないほうがいいと思います。 |
| G美しさ |
| アルミニウムは建築部材などにも多く使われています。それは単に耐食性だけではなく、その無機質な美しさがデザイナーたちの心を揺さぶるのでしょう。 アルミニウムが世界に紹介された頃、「銀よりも美しい!」と言われていたそうです。 |